チャレンジャーカップル コアジサシ(絶滅危惧種)

野鳥の世界 コアジサシ

夏羽の黄色いくちばしとシックな色合いが特徴のコアジサシという鳥さんがいます。カモメの仲間の野鳥で、日本では夏季に本州以南で観察できるようです。繁殖場所の減少などにより生息数が減っており、絶滅が危惧されています。

今回は、このコアジサシのお話です。

コアジサシの繁殖地はユーラシア大陸の中緯度地域、越冬地はアフリカからオーストラリアまでの沿岸部です。コアジサシは繁殖のため、日本にも渡来し、海岸・砂浜・埋立地・川原などに集団で営巣(コロニーを形成)します。

コアジサシは、埼玉県の絶滅危惧IB類に指定されており、観察できる機会はあまりありません。過去に何度か見かけたものの、写真を撮らせてもらうことはできませんでした。

今回、見かけたコアジサシは、集団ではなく、たった2羽のカップルでした。とある日の午前中、小さなコアジサシが、沼の浮き木に止まっているのを発見。

コアジサシ1
2016年5月 埼玉県 とある沼 コアジサシ

コアジサシの体長は約24cm、黄色のくちばしとシャープな尾、シックな色合いが特徴です。

コアジサシ2
コアジサシ(夏羽)

何故、この小さな沼にコアジサシがいるのか?というと、おそらく食べ物となる小魚が豊富にいるからだと思います。同じ魚を狙って、カワウや釣り人もいますし。

しばらくの間、この2羽のコアジサシは、浮き木に止まったまま、水の上を漂っていました。

コアジサシ3
このポーズのまま、動かないコアジサシ

約10分後、コアジサシの会話が始まりました。

コアジサシ4
「そろそろ始めよう!」

と言ったかどうか分かりませんが、コアジサシの儀式?が始まりました。

コアジサシ5
「よろしくおねがいします!」

と、挨拶をしているように見えます。そして、再び停止。

コアジサシ6
このポーズで、再び停止

2羽とも同じ方向を向きました。この後、息もピッタリの光景が。

コアジサシ7
同じ方向を向くコアジサシ

コアジサシ8
右を向いて

コアジサシ9
左を向いて

次に、1羽(メス)が低い姿勢をとり、

コアジサシ10
1羽が低姿勢に

もう1羽(オス)が上に乗って、無事、カップルが誕生しました!

そこに、このカップルの邪魔をしようとしたのか、上空にもう1羽のコアジサシが現れました。

コアジサシ11
上空のコアジサシを睨みつけるカップル

邪魔者を撃退しようと、カップルのコアジサシが追いかけていきました。

この沼地には、3羽のコアジサシがいたのですね。本来ならば、集団で営巣するコアジサシなので、相手を見つけられる可能性が高いのでしょうが、たった3羽ともなると、あぶれコアジサシが出るのもやむを得ません。

もう1つ問題があります。このカップルが営巣できる場所は、沼にある小さな浮島か中州のような場所しかありません。カラスなどの天敵の襲来や、人が営巣場所に近づくなどの危険が生じた際、コアジサシは集団で撃退するのですが、このカップルの場合は、たった2羽で立ち向かうしかありません。

こんな悪条件でも、営巣にチャレンジするとはいい度胸です。まさに、チャレンジャーカップル!ですね。

コアジサシ12
頑張れ!チャレンジャーカップル

埼玉では、なかなか出会う機会がありませんが、姿を見せてくれてありがとう。逆境に負けず、子育て頑張ってくださいね、コアジサシさん! チュ!

<余談>
今回の観察により、コアジサシの繁殖に適した場所が本当に少ないのだなぁと考えさせられました。
コロニーはコロニーでカラスの捕食による影響が深刻な場所もあるようですし、かといって、今回のような、たった2羽で営巣するのも大丈夫かな?と思います。

集団で営巣するには、それなりに広くて安全な場所が必要ですし、その数を養うだけの豊富な食べ物も必要です。
現在の環境下は、コアジサシにとって、とても厳しい状況ですが、何とか頑張って生き抜いて欲しいです。

<コアジサシを脅かすもの>
海岸・港湾・河川・湖沼の減少:生息場所がなくなります。繁殖地、越冬地の両方の環境が整っている必要があります。
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波にも負けず戦法 キアシシギ

野鳥の世界 キアシシギ

暖かい南の地域で越冬を終え、北の繁殖地へ向けて移動するシギやチドリ類の中で、埼玉に立ち寄る旅鳥は、とても少ないようです。何故なら、埼玉には海がなく、彼らの餌場となる干潟もないですから・・・。そんな中、幸か不幸か、旅の途中で、不時着してしまったと思われるシギに出会ったので、今回はその紹介です。

春は嵐のような日が多く、「こんな暴風では、旅鳥たちは移動するのに苦労しているだろうなー」と、思うことがよくあります。その日は、久しぶりに、とある湖に行ってみることにしました。数日前、台風並みに荒れた日があり、その日も、かなりの強風でした。

「こんなに風が強いんじゃー、誰もいないかも」と思いながら、歩いていると・・・湖の岸辺に誰かいます。

キアシシギ15
2016年5月 埼玉県とある湖 この野鳥は?

シギ類の野鳥のようです。この短足具合からすると・・・キアシシギ!です。

キアシシギ16
「短足ですけど何か?」 キアシシギ(夏羽)

南西諸島の干潟などでは、スタスタと元気に歩き回ってカニなどを採餌するキアシシギを何度か見かけたことがあるのですが、この時出会ったキアシシギは、ちょっと様子が違っていました。相当疲れていたのか、ほとんど動かないのです。

しかも、護岸コンクリートの上では、食べ物も、あまりないはず。栄養補給に、わざわざ立ち寄ったというよりは、不時着してしまった可能性が高いです。

波がバッシャン、バッシャンとキアシシギの足元を打ちつけています。

キアシシギ17
強風のため、波が荒い

今にも波にのまれそう。大丈夫?

キアシシギ18
波にのまれそうなキアシシギ

波しぶきがキアシシギを襲います。ザッバ~ン!

キアシシギ19
あっ、危ない!

と、見ている方がハラハラしたのですが、このキアシシギは、波打ち際に居続けました。
「どうして逃げないのかな?」と思ったのですが、逃げないのには、ちゃ~んと理由がありました。

このバッシャン、バッシャンの波に紛れて、食べ物が岸辺に打ち上げられるのです。それを、キアシシギが、うま~くゲット!

キアシシギ20
食べ物を捕えるキアシシギ お見事!

この「波にも負けず戦法」は、疲れた体を動かすことなく、荒波を利用して、効率よく食べ物を捕まえる最適な方法だったのですねぇ。
この場所に不時着してしまったにせよ、このキアシシギは、きっと大丈夫でしょう。

数日後、同じ場所を訪れてみると、あのキアシシギは、もういませんでした。すでに、北に向けて旅立った後のようです。

埼玉では、なかなか出会う機会がありませんが、一時でも姿を見せてくれてありがとう。無事、繁殖地までたどり着いてくださいね、キアシシギさん!チュ!

<余談>
キアシシギといえば、短い足をせっせと動かし、砂にくちばしをブスッと突き刺したりして、せわしなく食べ物を探している印象が強かったのですが、今回出会ったキアシシギの様子を観察したことにより、イメージが一変しました。
ほとんど動くことなく、食べ物を探すこともできる鳥さんだったのですね。
場所が違えば、採餌方法も違うということを改めて教えてもらいました。野鳥たちの生き抜く知恵に感心!

キアシシギの関連記事「短足の頑張り屋 キアシシギ」はこちら

<キアシシギを脅かすもの>
砂浜・干潟・磯・水田などの減少:生息場所がなくなります。繁殖地、越冬地の両方の環境が整っている必要があります。

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プロフィール

あーちゃん

Author:あーちゃん
バードウォッチング(探鳥)を通して、自然保護(環境保護)の重要性を痛感。天然記念物(絶滅危惧種)の野鳥や個性豊かな鳥さんとの出会いを独自の目線で紹介していきます。

埼玉県在住。
家族:たーさん(旦那)、ふーちゃん(鳥)

あーちゃんは、専門家ではありません。したがって、このサイトの記載内容については、正しくない可能性がありますので、あしからず。また、写真の綺麗さを追求し、紹介するサイトではありませんので、ご注意を!

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